私は今までに、公立の保育園(4か月)、公立小学校(3年)、公立中学校(5年)公立高校(3か月)、ついでにアパレルで新人教育の経験がありますが、それぞれの現場でいろいろな問題が混在している印象です。そのために、自分が教育を受けているときと比べて質がどっと落ちてると感じています。
私は保育園~大学まですべて公立で育ってきたので、現状との比較がしやすいです。自分なりに今の教育の問題点を整理してみましたので、文部科学省の方や関係機関の方の目に留まるといいなと思います。
全校種で教育経験をして、おおまかにこんな問題が見えてきました。
1 指導要領が大きく転換したのに、指導内容があまり変わっていない
2 校種間連携不足
3 やることが多すぎて、教員が疲弊し、教育の質が落ちている
4 学校のリーダーシップ、構造上の問題
5 国のマネジメント能力、リーダーシップ
6 家庭の機能、教育力低下、子育て不安、貧困
1 指導要領が大きく転換したのに、指導内容があまり変わっていない
近年の指導要領の改訂は、長い教育史から見ても大きな内容の転換があったと思っています。強調されているのが、多様性への理解や主体性、問題解決能力です。少し前までの、従順に、言われたことができる人が求められた、企業での終身雇用を支える人を育てた教育からすると、大転換だと私は思います。
それなのに、現場にいて感じたのは、これまでと何が変わった??ってことです。年功序列の世界が色濃く残る学校社会では、その変化にすぐに対応できる管理職は少ないと感じます。これまでやってきたやり方にある程度自信を持っておられる先生方はそれを進んで変えることに拒否反応を示します。または、これまでの経験が邪魔したり、社会を知らないこともあり、指導要領が求めていることを正しく理解できない方も多いのではないでしょうか。
この状況を変えるには、若い人や企業の人とこれまでの管理職と共同代表みたいな形にするとか、もっと若い人や社会をわかってる方の力を生かせるような体制にする必要があると思います。
それと、指導要領の方針を大きく変えたなら、それを実現する教育課程や時数から抜本的に変える必要がある気がしています。
私の担当する家庭科を取り上げてみても、SDGs、消費者教育、金融教育、食育、保育、防災、介護など、これからを生きるのに重要で内容が増えたものも多く、重点的に教えなさいと文科省からたくさん通達が来ましたが、週に1時間(3年生では週に0.5時間)でだれがそんな神業できるの?って思ってました。広く浅くさらっとやって、テストのためにキーワードおさえて範囲を終わらせることくらいしかできません。本当は、体験が不足してる子どもに、調理実習や保育実習、介護体験、防災について実践的に考えること、高齢者との交流、SDGsを考え行動してみる、金融教育を専門家から受けるなど、時数やそれをやりやすい環境があれば絶対子どもが育つし、将来に役立つ授業ができることはわかってるけど、今はそれができる環境ではありません。テストや評価の存在、時数の問題など、一教員ではどうにもできないところで、子どもに必要な教育が与えづらい。
正直、知識を与えるのは教員じゃなくても、YouTubeやgoogle先生などが、いつでもどこでも教えてくれる時代です。身近で必要な体験がしにくい現代。子どもに必要な体験をさせる場所としての学校を、もっと考えていくべきだと思います。そういう意味で、公立の義務教育は特に、これまでの主要5教科重視、テスト重視の教育から、実技教化や体験活動重視の教育へ変わる必要があるのでは、と個人的には思います。
発達段階的に見ても、子どもが幼ければ幼いほど、体験的活動や人と関わりが必要なのは経験上でも明らかです。家庭科をやっていても、年々生活経験が不足してることを感じていました。それなのに、お手伝いより塾に行くことが優先されている家庭も多く、国が今のお受験制度を続ける限りこの状況が続くのかなと思います。こちらから見ると、人として大事な部分が抜けたまま、知識ばかり積み重ねているという感じで、だから知識を活用できず幸せになれない人が出てくると感じます。知識を重ねることが悪いことだとは思っていません。大事なところが抜けていることが問題で、将来苦労が目に見えていて子どもがかわいそうです。
そういう意味でも、幼いうちにたくさん人と関わり、体験活動をフォローをしていくことが、とても重要で、子どもの社会的自立に一番必要なことだと思います。それは将来国力全体を支える力になると思います。
今中学で部活をなくそうという議論もありますが、子どもにとっては必要な活動だと感じています。なくすのではなく、外部委託など、教師の負担のないように存続させる。または、カリキュラム自体抜本的に変えて、知識を学ぶ時間を減らし、午後は部活や社会と関わる活動などにしてしまうなど主体的に体験的に学べるカリキュラムにするくらいしてもいいのではと思っています。
座学が多いのは、勉強できない子にとっては苦痛でしかない時間が続くし、勉強できる子は短時間でもできると思います。人間的に成長して、健全に、器を大きくすることのが、よっぽど将来に役立ちます。
次回は、2 校種間連携不足 について